【補足】アクセント表記による効果レベルの測定

先日、sagishi氏による『押韻論/定義など』という記事が投稿されました。元記事はこちら。

必要箇所を要約させていただくと、

  • 押韻しているある一定範囲(スケール)をもつ語文/音の連続体を押韻価とする。
  • 押韻価はおおまかに押韻レベルと効果レベルに分けて分析できる。
  • 押韻レベルはモーラ内の母子音の一致の可否を分析する項目である
  • そして効果レベルの項目では音声ピッチの一致の可否を分析する。

以上のようなことが書かれていると思います。

しかし押韻レベルのモーラによる分類に対して、効果レベルの分類は具体的な記述がなされていないかと思います。その点を以下に、微力ながら補足させていただこうかと思います。

 

さて、この効果レベルとは押韻価上における"音声ピッチの上下"、つまりアクセントの一致のレベルを意味しますが、このアクセントの表記を日本語上で行う場合、どのようにすればよいでしょうか?いくつか理論がありますが、今回は以下のページに載っている城生佰太郎氏の表記法を用いたいと思います。

音声学的アクセントと音韻学的アクセント » NO LANGUAGE, NO LIFE.

城生は、国際音声記号(IPA)によるアクセント表記について記している。従来のアクセント表記は、上記したように音韻学的レベルを基調としてきたが、ここで問題になっているのが、高さの段階に関する問題であると城生は述べている。例えば「こうもり」のアクセントは

コーモリ/HLLL/(Lは低い平音、Hは高い平音)

と、音韻学的には表記されているが、実際のところは「こうもり」と発音すると、高さはたえず下降している。これを正確に表記しようとすれば、音声学的レベルからIPAなどの表記を用いるほかないとしている。しかしそれは、散々避難した音韻論的レベルからのアクセント表記になってしまう。

―モリ

では、後半部分の「―モリ」の部分がすべて[低低低]として扱われてしまっているところに問題がある。ここで城生は、音声の高さに段階をつけ、従来のHとLの間にMの層を設け、

コーモリ[HmML]

と表記している。最初のHが太字なのは、この音節が途中で下降を伴う長音節であることを示し、その次の小文字のmは第二音節にかけてHからMレベルに向けて下降することを示している。

 要約を行うと、

  • Hは一語中の高い音を、Lは低い音を表す。
  • M(大文字)は上下のない音、またはHLに対して中間の音を表す。
  • m(小文字)はHまたはL(高低)からM(中)への滑音/ピッチベンドを表す。

このようなことが書かれていると思います。ではこの表記法で、先述したsagishi氏の記事の例文を分析してみましょう。

 

例:

押韻価A:冥土の土産(LHH_M_MMM)

押韻価B:軽度の痛手(HmM_M_MMM)

 

この場合、まず「冥土(LHH)」に対して「軽度(HmM)」はピッチが異なるため効果レベルを【 × 】とします。次に、つづく接続語「の」と「土産/痛手」は(M_MMM)で音声のピッチが一致しているため効果レベルを【 : 】とします。

このようなプロセスを経ることによって、最後に総括し、押韻価ABの効果レベルを【 × × × : : : : 】と表記することができるのではないでしょうか。

急ぎになってしまいましたが、私からの補足は以上になります。