韻とアイデアほか

7割は合ってる / 誤訳の指摘は24時間お待ちしとります

【円盤完訳】Roc Marciano - Reloaded

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Roc Marciano - Reloaded

 

 NYはロングアイランドヘンプステッド出身、10年代のラップの基礎を築いたともいえる東海岸アングラの悪党Roc Marciano。耳の早い人なら彼の楽曲の格好良さはよく知っているかと思われますが、その中身がどんなものだったか把握している人は少ないのではないでしょうか? 少なくとも自分はこの翻訳を終えるまで存じ上げなかったです。

 

 彼はMVで見た通りおっかない裏稼業の人(本人曰くただのキャラクター設定らしいですが、果たしてどこまで本当なのやら...)としてのラップを武器としており、人を殺めたり売春の斡旋をしたり、まあ無茶苦茶やっております。

 

 それ自体も格好良いんですが、読み解いていくと彼を一躍アングラの盟主たらしめたのはそのキャラ設定やビートのド渋な格好良さだけでなく、卓越した言葉遊びの技術でもあるということが見えてきます。

 執拗に韻を踏み、執拗なまでにダブルミーニングを織り込むさまは狂気の域と言っていいですね。半分暗喩によるこじつけみたいな所もあるんですが、ギリギリの所で成立している。日本語ではなかなか目にかかる類ではないので、興味深いものがありましたね。

 

 ライムは深っっっけえ.........ということを嫌と言うほど思い知らせるアングラの美学を、このアルバムを契機として味わってみてください。何かインスピレーションを引き起こすやもしれません。それどころか自分は脳みそぶっ飛ばされましたけどね!

 そんなわけでRoc Marciano『Reloaded』、どうぞ。

 

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Roc Marciano - Reloaded

 

 01. Tek to a Mack

 02. Flash Gordon

 03. Not Told

 04. Pistolier

 05. Two Zips

 06. 76

 07. We Ill

 08. Deeper

 09. Death Parade

 10. 20 Guns

 11. Peru

 12. Thread Count

 13. Nine Spray

 14. Emeralds

 15. The Man

 16. Sweet Nothings

 

 

【翻訳練習】Roc Marciano - Sweet Nothings

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Roc Marciano - Sweet Nothings

 ※ 21/07/16 "It's nothing~"の箇所を訂正しました 

 

 後の最後、16曲目! アルバムを締めるのはちょっとほろ苦いこんなチューンです。"Sweet Nothings"、甘い空虚という意味ですが...

 

 後日追加収録された"Two Zips"同様、この曲は働いてる地元の人たちに投げかけられてるみたいですね。しかし何を言っても、空っぽな優しい言葉にしかならない、というような諦めが感じ取れます。ラップも呟くようなさらに低いトーンに抑えられ、どこか物悲しい。

 

 

 というわけでRoc Marciano『Reloaded』でした。

 最初はどんな冷酷なギャングスタラップを披露してくれるのかと思ったんですが、フタを開けてみると意外にもユーモラスで、何よりそのダブルミーニングの量に驚かされましたね。そこに比重を置いていたのかと。

 それを踏まえアルバムタイトル『Reloaded』を考えてみると、1stから2ndへ作品を装填した、という意味だけでなく、「弾はもう数発込められてるぜ=意味は複数あるぜ」ということだったのか! と合点がいきますよね。よく考えられた題ですわ...

 

 これ以上語るのも野暮ってものなので、ここらで静かにペンを置きたいと思います。ご清読、ありがとうございました。

 

 

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【翻訳練習】Roc Marciano - The Man

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Roc Marciano - The Man

 

 ルバムもカーテンコールの時間ということで、15曲目 "The Man"は大団円的なムードのなか、ゆったり微笑ましいライムが紡がれてゆきます。

 

 ここまで過激な世界を描き続けただけあって、ポン引きとして従えている娼婦たちと、ダチたちとまったりくつろいでるのを語られると、なんともいえないくつろぎがありますね。とりわけ嫁さんに頭が上がらない様はオイオイオイって感じです。最高じゃないですか!(活気づくオタク)

 

 とはいいつつ最後の方でストリップに寄っちゃったりして、やっぱ漢なのねって感じでアルバムの幕は閉じられます...もう1曲、デラックスエディションに収録されてる曲が続くんですが。

 

 

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【翻訳練習】Roc Marciano - Emeralds

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Roc Marciano - Emeralds

 

 面的、一級品、"緑"一色...彼のラップはまさしくエメラルドですね! アルバム架橋の14曲目"Emeralds"は、まさにクライマックスに相応しい一品に仕上がっております。

 

 総括的ですね。ポン引き、殺し、カルティエの眼鏡、そして彼の最大の武器たるダブルミーニングに至るまですべてが絶好調です!ビートも王道のブーンバップで力強く、向かうとこ敵無しなチューンじゃないですか。

 

 あらゆる銃が男根の暗喩として出てくるのも面白いですし、表現ひとつひとつが鮮烈で秀逸なんですよね。"ランボルギーニの夢"、”総菜の肉”、"魔法の絨毯"、"ルイヴィトンのスニーカー"...カーッ、どれも素晴らしい。

 

 別にアルバムにストーリーとしての起承転結があるわけでもないのに、彼がこの盤でやろうとしたことが、全て"エメラルド"の1単語に集約されることでひとつのクライマックスと化してるのが見事としか言いようがない。「そういう締め方もあるのね!」って驚いちゃいましたよ。

 

 

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【翻訳練習】Roc Marciano - Nine Spray feat. Ka

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Roc Marciano - Nine Spray

 

 ち着いたムードから一転、冷酷な冬風を抱えた盟友Kaを引き連れ、辺りはピリッとした空気に包まれます。13曲目の"Nine Spray"では言葉の遊びを控えめに、猟奇描写に徹している彼が拝めます。ちょっとはあるけども。

 

 こう二人を並べてみると、同年代に台頭した中でもクッキリとスタイルが区分されてるのが分かりますよね。小節の境目などお構いなしにライムを連打するRoc Marcianoと、小節をキッチリ揃えて淡々とスピットするKa。どちらのスタイルも格好良いことこの上ねえ。 

 

 この曲はKaが持ってったなって感じがしますね。最後の数小節はなかなかに味わい深いパンチラインじゃあないですかね...

 

 

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【翻訳練習】Roc Marciano - Thread Count

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Roc Marciano - Thread Count

 

 ンバー13! 前曲に引き続き、散漫としたライムが束ねられとりますが、一応この無秩序にもアウトロでちょっとしたオチ(意図)が付けられます。

 

 3バース目の二重表現が秀逸ですね。特に墓石のくだりなんかは常人の発想じゃねえなって感じでちょっと興奮すること請け合いです。

 

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