韻とアイデアほか

日本語の押韻などに関する走り書きetc...

【翻訳練習】Sole - Salt on Everything

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Sole - Salt on Everything

 ※ 21/04/15 翻訳を数か所修正しました

 

 本で何も知らずに日本語ラップを聴いていても、Anticonの影響というのはそこかしこで聴こえてきたものです。なのるなもないと志人によるユニット降神が、一部のファンたちに和製アンチコンとか言われていたのを筆頭に、そのフォロワー、そのフォロワーのフォロワーと抽象的かつ詰め込むタイプのラップをするラッパーが00年代にやたら増殖したものです(もちろんネットラップにも)。

 

 で、時は過ぎ去り、そのAnticonの創設者のひとりたるSoleは2010年2月にレーベルを離脱し(EL-PがDef Jux休止を発表した数日後!)、現在は自身のBandcampページなどを通じてリリースを重ねながら、ポッドキャストSolecast(近々名前を変えるそうだ)を運営し、最近では家庭菜園にいそしんでいる様子です。

 この記事の画像(今年の4月1日投稿)はSoleおじさんが初めて種から育てた栗の苗木だそうで、うきうきしながらツイートしててほっこりしました。かねてからリベラルな立場で主張を続けてきた方がとうとう実生活の根幹にまで思想を取り入れたわけで、人生というのは地続きなんだなあとしみじみ...

 

 じゃあなくてですね、今回言いたいのは彼の過去作についてですよ!

 今回紹介する曲はそんなSoleの2003年作アルバム『Selling Live Water』のシングルである『Salt on Everything』です。

 最初このタイトルを見たとき「レストランですべてに塩をまぶしまくるイギリス人の歌かな?」と思ったんですが、どうやらここで挙げられてる塩というのは清めの塩を意味するみたいですね。刹那的で"常に死んでいるような"拝金/快楽主義の男女に塩をまぶしていく、ということらしいです。ちょっと主張にナードな青年感を感じて気恥ずかしくなってしまうんですが、それはともかくとして音楽全体が格好良い。

 

 個人的にここで指摘しておきたいのは、彼のフローですよ。このスローなビートに倍速のノリって00年代にUKのグライムが様式美として洗練、完成させたり、Aesop Rockが2000年の『Big Bang』のHookの時点で完成形を用意してると思うんですけど、Soleがこの盤で見せる倍速はもっと"微妙に"オフビートで有機的なんですよね。

 同じスローなノリのトラップじゃもうMigosの3連符フローなんて飽きられてみんな歌うたうか、もっとBPM早くして普通のラップ~みたいな感じになってますけど、そんじゃここいらでAnticonの再考を~みたいになってもいいんじゃないかと思うくらい、ここで垣間見れるSoleのフローはユニークかつ洗練されてますよ。

 ここではオフビートな中にも6拍子("To hold the nothing in"の箇所とか)とか、グライム的な拍の頭を打つリズム("Neon eyes, cold to the touch~~"の箇所とか)と、8ビートの裏拍を綺麗に周到に打つ("Lighter side of death"の箇所が一番わかりやすいか)ようなノリとが上手い塩梅で仕組まれてるんですよ。時にレイドバックして、時に前のめりに。

 

 リリック側に注目されがちですけど、Soleさんは倍速ラップに有機性を組み込むという点ではフロー巧者だったんやで、ということをもっと前面に押し出していきたいですよね。そんなわけでどうぞ。

 


[Intro]
Seven thousand day cough...
7000日間の...

 

[Verse1]
Seven thousand day cough
7000日間の
My lungs of an old woman of a racist race called man
人種差別的な人種が男と呼ぶ老婆な俺の肺
I'm a word machine
俺は文章マシンだ
Without enough words to be composed or the worms to decompose
- 構成するに十分な言葉分解する線虫を持たない

 

My old song body, pretty, for the showing
俺の過去曲の体、綺麗だ、ショーに向く
Party women with painted faces
顔を塗りたくったパーティ女
Only pretty for their lawyers, everything's illegal
彼女らの弁護士にとってだけ綺麗で、すべてが違法だ
'Cause they're pretending to breathe
なぜなら彼らはをしてるフリをしてる
Better to be sick in the head then sane in the city
頭の病気になったあと街で我に返った方がいい
Like there's a difference or a reason to stay in the city
ここには違いがあるとか街に残る理由があるとかいう風に

 

Sell the mob to the king, sleep with the dragon
仲間を王に売り渡し、ドラゴンと寝て
Slay the princess, lay peaceful in the nothingness
王女を屠って、虚無の中に安らかに横たえろ
Laughing outside, my opinion permeates and lives forever
外側を笑え、俺の見解は浸透し永遠に生きるんだ

 

The way people live to be remembered
人びとが記憶されるよう生きる方法
Then and only then, see me perfect
その一瞬の時だけ、完璧な私を見て
More perfect than the sidewalk
歩道よりも完璧
More expensive than my shoes
私の靴よりも価値がある
More meaningful than hidden messages
隠されたメッセージよりも意味が込められている

 

In a quite safe, quiet walk
まったくの安全の中、静かに歩く
You forget your personality when they birth
お前は自分の性格を生まれた時に忘れる
In the after birth
出産後に
I still fake it, like I'm naked
俺は未だに偽っている、裸でいるみたいに

 

If you got the right sunglasses, I wrote this on cough drops
もしちゃんとしたサングラスを付けるなら、俺はコイツを咳止めドロップに書いたぜ
With the secret conveyor belt, in the sidewalk
秘密のベルトコンベアを使って、歩道

 

And the big, laughing, gaping, drooling, lipsticked-up
そして大きく、笑い、傷つけ、よだれを垂らし、口紅をつけ
And dressed like the lighter side of Death
の明るい面の様に衣装をまとい
Neon eyes, cold to the touch
ネオンの、冷たい感触
And there's salt on (psssh)
そしてここに塩を(プシャーッ)
Salt on everything
すべてに塩をまぶす
Salt on...salt on everything
塩を...すべてに塩をまぶす

 

[Verse2]
Melt me a princess thought like an open wound
癒してくれ、開いた傷のようなお姫様思想よ、
To bleed to sleep, to plead to work, to heal no loyalty
眠るためにを流し、仕事を懇願し、忠誠心を回復するために
To things that don't keep clean
清潔保たれていないもののために
Wither my old tongue or old tone
しおれた俺の古いか古い口調
To the man making all the new shadow puppets
全ての新しい影人形を作る男のために
I like your style more worthwhile than rubbish
俺はお前のスタイルがゴミより価値があるのが好きだ

 

A big break for bad taste, acting like faith is a face
趣味や、信仰であるみたいに振舞うための大型連休
A dumpster man singing a dumpster song of redemption
ゴミ漁りの男が救いであるゴミ漁りの歌を歌っている
Share the broken note, it's the only note
破れたノートを共有する、これは唯一のノート
People here got thick skin
ここの連中は厚い肌をしている
To hold the nothing in
何も入れないようにするために
There's salt on everything, salt on everything, salt on everything
ここじゃすべてに塩をまぶし、すべてに塩をまぶし、すべてに塩をまぶす
But I put it on nothing
だが俺は何もつけない

 

Lick your merry lips off and hum it
陽気な唇を舐め、ハミングしな
All in a bowling alley
ボウリングにある全て
Headaches and hogwash going on in my ears
頭痛と俺の耳に入ってくるくだらないもの
Dizzy dizzy infected of worry
心配に感染した馬鹿な馬鹿
It's never my body, my friends, my brain
それは永久に俺の、友達、脳ではない
or my fault to be stranded in a utopian wonderland
理想郷的な不思議の国に取り残された俺の過ちでも
For three minutes I could sit still and stare at the wall and let it
3分の間、じっと座って壁を見つめ、そのままにしておくこともできた

 

(die)
死ね

 

This is my favorite mini-series, well-written, under-funded when it all dulls
これは俺のお気に入りのミニシリーズだ、よく書かれていて、なまくらなら資金不足だ
A never-decaffeinated dream and I love a big bleeding heart song we can all learn
ずっとカフェインの抜けない夢、そして心を大出血させ、誰もが学を得る歌を俺は愛してる

 

Some days we almost feel alive
ある日俺たちは殆ど生きてると感じる
And most days we forget to live
そして大部分の日で生を忘れる
For some reason, that's all I can bring myself to say
ある理由により、これが俺が俺に言わせられる唯一のことだ
"You know what on everything, everything"
"分かるだろ、何をすべてにまぶすのか、すべてに"