韻とアイデアほか

日本語の押韻などに関する走り書きetc...

【翻訳練習】Doppelgangaz - Nexium

 

 

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Doppelgangaz - Nexium

 ※21/04/17 "Pushed the mini-van~"の箇所を修正しました 

 

  十年代の東海岸的なざらつきとファットさを持って登場した彼らは、まるで黄金時代の再来かのように聴こえました──そのリリックを聞くまでは。

 

 DoppelgangazはNYのオレンジ郡からやってきたMC/プロデューサー、Matter of FactとE.P.によるデュオです。ビートからラップ、マスタリングまで自分たちのレーベルGroggy Pack Entertainmentで手掛け、出てくる音はプロ顔負けにつやつやした一級品。彼らの"完璧主義者"の自称に偽りがないことが計り知れます。グループ名の由来はお互いの趣味があらゆる面で一致してたことに由来し......

 

 ええい、堅苦しい紹介は省略!この”精神的”デュオの一番の特徴はそのナンセンスなリリックなのです。書き立てるその内容は概してデブ、ハゲ、早漏不能、ババア、etc...とにかく人々が社会で明言するのを避け、あるいは本物の親友たちとゲラゲラ話すようなトピックばかりです。21年4月時点での最新(ボツ曲集)アルバム『Dumpster Dive(ゴミ漁り)』では「ドバイに女を連れ込んでスカトロプレイに興じる」とかいう内容の曲まで披露(それも感動的に)。いつか絶対訳したい。

 そのせいか、どんなに90年代的な音に惹かれてもリアル志向のヘッズからは距離を置かれることもある彼ら。しかも4枚のアルバムを発表後、唐突にその音作りを同じ90年代でも"西海岸"へとシフトし、音だけ聴いてた物好きたちもふるいにかける始末。

 

 でもここで一番言いたいのは、そのリリックこそ彼らの魅力なんだということです。こういったナンセンスはくだらないものとして遠ざけられがちですが、一方で我々の恥じている面を代弁してくれているかのようでもあるのです。

 例えば隣人のセックスの音にドキドキしてベランダで致してたら当の本人たちにバレた経験のある筆者は、彼らの率直な露悪ぶりを聞いていると、何の根拠もない自己肯定感を得られるのです。言葉にして思うわけではないですが、ああ、自分のようなクズでも存在はしていいんだなという感覚。これはどんなポジティブなコンシャスラップにもできないことですよ。

 ストロングゼロを飲んで二次元と尻型玩具で事に及ぶような手合いにとって、意識的であること自体が世界の断絶たりえます。見たくない現実を受け止めることになるから。Doppelgengazは、そういう"どうしようもない奴ら"にとっての生き写しでもあるのです。彼らの実体験を書いた歌詞ではないですがね。

 

 さてこの記事で取り上げるのはそんな2つ首の救世主たちの出世作である2ndアルバム『Lone Sharks』のIntroを除いた1曲目、Nexiumです。

 この曲で描写されるのはスクールカーストでいうところの痛いナードで、1バース目では腹痛薬ネクシウムをハイになれる薬だと思って注射していることを、2バース目ではDoppelgangazと同じローマ時代の黒いマントの様なもの(これをクロークという)を付け、2本の詩を持っていることをパクリの罪で裁判するというよくわからん内容。後者はMF DOOMのRapp Snitch knishesを彷彿とさせる。

 しかし"自分たちのそっくりさん"を処すということは、これ逆説的に自分たちのイタさを自嘲してるということなのでしょうか。まあともかくNexium、どうぞ。

 


[Intro]
...In the beginning, a row with an ink, it pose to pop something on blood
..初めのうちはインクとの格闘で、それが血に何かを弾けさせるんです
However this for not mic, any acceptable carbon
しかしながらそれはマイクのことでも、どのしっくりくる筆記具でもなく
So awkward then electric typewriter
とても気まずいことに電子タイプライターなんですが...
Ugh, I am proud to be able to present you with first edition of me saga
あー、私の武勇伝の初版をお披露目できることを誇りに思います
I been tryna torment profusely, it'll straight it...
たくさん苦しもうとしてきました、それが更生させてくれるだろうと...
Title's!
題して!

 


[Verse 1: Matter ov Fact]
Nah, ayo no it ain't E
いや、なあそうじゃないE
It's the skinny man shaped like a lowercase b
そいつは小文字のbみたいな体型の痩せっぽちだ
Pushed the mini-van with the stow away seats
席を折り畳んだミニバンを走らせて
He's used to hearing three words "Go away creep!"
3語を聞くのに慣れている──「どっか行けキモい!

 

Some bean curd, a scone and braised beets
いくつかの豆腐、スコーンと煮た甜菜
For the insomnia that leaves him prone to day sleep
彼を昼寝に連れがち不眠症への対策さ
At the brothel nigga known to stay cheap
ダチに「安いまま」で知られる売春宿で
Don't want to pay an arm and a toe to spray skeet
鼻水(精子)撒き散らすために大金を払おうとするな

 

Sheet, the Doppel plan to kill spree
しーっ、ザ・ドッペルは連続殺人を企んでる
That ensures posthumous love like Annabel Lee
アナベル・リーみたいな死後の愛を保証するぜ
Psh! Say damn if you agree
プッ! 賛同ならクソと言いな
Perhaps mull it over with some chamomile tea
カモミールティでも添えて考えてやってもいい

 

You see, you can ask his trustee
分かるだろ、彼の保護者に尋ねてみな
Just never mind the scent that he bask in, musty
彼の浸ってる香りはマジで気にするなかび臭い
Or him popping nexium for three months
つまり彼はネキシウムを3ヵ月打ってるってこと
And still sober as day but acid reflux free
で、まだ日中みたくシラフだが酸の逆流無しだぜ

 


[Verse 2: EP]
Ayo Brut cologne, along with the accoutrement
そらBrutのコロン、加えて装飾品
Keep two poems and a suit in Rome
二本の詩を抱えローマ風におめかししろ
A new tooth made of chrome
クロム製の新しい歯
Aloof from the youth, uncouth to the bone!
若くからぼっちで、骨までダサい!

 

Pen it, the vandals are demented
書くといい破壊者どもは気狂い
And for the last time, no the candles not scented
そして最後になるが、香らない蝋燭はないのだ
Panhandle, cause scandal up in the senate
乞食よ、上院で暴露してしまえ
Known to quote a rhyme, but he rambled when he read it
こやつは韻の借用で知られるが、読み上げると延々と釈明しだした

 

Dead it, you third 'em how we hate 'em
殺してしまえ、お前は俺たちが憎む三人目
Who peep a new verbiage and speak 'em verbatim
多くを盗み聞きし、一語違わず話す奴め
No birds were to date him
どの小娘も奴とデートしなかった
Never did occur that they slurred and degrade him
彼らが奴を中傷し、堕落させることなど起こらなかったのだ

 

What you concur from the datum?
何がお前の情報と一致するか?
Plot the raid, invade, absurd ultimatum
襲撃を計画し、侵略し、不条理な最後通牒をした
Observe, drop turd then berate em
収監ののち、脱糞して罵倒の刑に処す
No superfluous words heard then you fade em
ムダ話は無し、聞いたら失せよ

 

 

......

 


[Outro]
Get a mark, takes another slump
証拠を受け止め、さらに支持を失うといい
I know thouthand, the thouthand the marriage men
私は知ってるぞ、1000人、1000人もの結婚した男、
who have to leave their sweet heart then go back to the white
それもか弱い彼女らの心を引き裂いて白紙に戻る連中をだ
Nowadays, wanna men walks in to a hotel?
最近では、男はホテルに歩み入りたがるのか?
And request a room of the 19 floor?
そして19ものフロアを借りて?
The cloak essence
クロークの権化だ
Hoe sleeping, or jumping!
売女が寝ているし、跳ねている!