韻とアイデアほか

7割は合ってる / 誤訳の指摘は24時間お待ちしとります

【翻訳練習】Aesop Rock - Daylight

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Aesop Rock - Daylight

 ※21/05/12 数か所を修正、リンクの添付などをしました。

 

 の方ほど翻訳者をブチ切れさせるラッパーが他にいるでしょうか?アンダーグラウンド全盛期を代表する作品のひとつを作り、その後着々とアルバムを積み重ねてインディでトップの知名度を誇るラッパーになったにも関わらず、彼のリリックはここ日本でほとんど翻訳されてないわけですよ。学生だった当時、そのことに心から憤ったものです。そして今では別の理由で憤っている。

 

 Aesop RockはNY州のシオセットで生まれ、同州ロングアイランドのノースポート村で高校時代までを過ごしたあと、マサチューセッツ州ボストン大学へと入学します。

 そこで視覚芸術の学士号を取得することになるのですが、そこで同大学に通っていたBlockhead(後にAesop Rockの中期までの作品群を大部分カバーするプロデューサー)と出会うことになります。Blockheadは元々ラッパーになる夢を抱いていたそうですが、Aesop Rockのフリースタイルを聴いてプロデュースに宣伝することにしたそう。判断がすばやい。

 

 大学に通っている96年当時、彼はマンハッタンのGraebarという(レコーディングではなく)ファッションショーなどに使われていたスタジオにたむろしていました。そこには彼以外にも、インターンとしてスタジオで働き、最初期にAesopにビートを提供したDub-L、同じアングラMCで後にコラボするC-Rayz Walz、そして後にKanye WestやKid Cudiを中心に多くのメジャーアーティストを担当する音楽プロデューサー、Plain Patの4人がよくいたそうです。

 

 当時の録音物は彼の1枚目のアルバム(というより音源集)である『Music for Earthworms』に収録されてるのですが、どうやらそれらは全部ダイナミックマイクSM58(いわゆる"ゴッパー")で録音されたそう。音源集は自主サイトと当時人気だったMP3ドットコムで宣伝を行い、300枚以上を売り上げたとか。

 

 そして98年に大学を卒業すると、音楽制作を続けるかたわら、彼の短いようで長い悪夢"労働"が始まることになるわけですが...経歴の説明はいったん中断しましょう。

 

 本稿で紹介するのは彼の4枚目のフルアルバムであり、アングラ全盛期を象徴する01年作『Labor Days』より代表曲"Daylight"です。

 00年代のラップ好きなら一度は耳にしたことのある曲でしょう。その寂しい気持ちにさせる音色に、彼のエモーショナルで技巧的なフロウが乗っかるわけですよ。リリックを読まずに聴けば、なにか社会人が郷愁に駆られ、過ぎた幼少期を惜しむかのように聴こえます。ジャングルジムとかオリガミとかなんとか言ってるし。

 

 しかし!翻訳すると分かる!

 何言ってるかわかんねえ!

 一番の特徴なんですが、彼は「普通その言葉はそんな風に使わない」みたいなことを毎っ行毎行、病的なくらい執拗に繰り出してくるんですよ。まるでUTF-8コードをShift-JISで読み上げるブラウザみたいに。

 例えば1バース目の"Fathom the splicing of first-generation fuck-up"は、自分の幼い技量で直訳すると「失敗第一世代の継ぎはぎを突き止める」とかそんな感じで、はあ、という感じ。そもそもFathomて何?

 とはいえ、これはまだマシな方ですが。

 

 2バース目"Shimmy cross the centerfold"は「シミー(ダンス)が見開きを横切る」、この"シミ―"はタブロイド紙の見開きのピンナップガールのこととも取れますし、あるいは新聞を両手で持ってるオッサンの方を意味してるとも取れますが、どちらにせよ”シミー”とかいう語をそうは使わない。

 あげくの果て"Plug deteriorating cenobite pendragon"、「堕落した修道士のペンドラゴン(アーサー王の父)に差し込め」ですよ。文脈を読んで、このペンドラゴンとかいう人物について調べて、なお意味が分からん!このペンドラゴン氏と"修道士"という概念がそもそも関連づかねえだろと。

 

 こうなるともう全体を意訳ということになるんですが、それじゃ原文の詳細が失われてしまうわけで、かといって直訳すれば昔のエキサイト翻訳みたいになるしで、頭を抱えるしかなかったですね。

 

 なんていうか、この人は取ってる手法が対極にもかかわらず、ある意味で三島由紀夫を彷彿とさせますよ。一般人にある程度知られているにも関わらず、やっていることは邪道も邪道という点で。三島は普通なら省くような描写を延々と(よく言えば"クソほどご丁寧に")書くのにたいして、Aesop Rockは "赤子が何かの気まぐれで三角の積み木を逆さまに置いて土台やてっぺんとして無理やりバランスをとらせる" みたいな無茶な省略をするわけですよ。どっちも勘弁してくれ。

 

 というわけで、ここに記載する見当違いのデマ誤訳もどきはほぼ勘で書かれたものであって、決してニュアンスをよく理解したものではないという前提のうえお読みください。いつも以上になにも保証できない。

 じつは彼のアルバムを全部翻訳しようかな、というひそかな夢があったんですが、たぶん一枚を訳すころ、自分の10円ハゲはミラーボールと化してるでしょうね。

 

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 とはいえ、何の解説もナシってのはアレなので少しだけ。

 この題名"Daylight"は「人が変わっていく(褪せていく)」のを日の光にたとえている、ということなのかな~なんて思います。1バース目と2バース目は違うようで実は同じ人物目線で語られており、その心の変化そのものが「昼から夕、そして夜」という変遷を表しているのではと。

 

 さらにもう一つ重要なテーマが"鳥"と"解体"ですね。この曲にはいくつか鳥、あるいは類似のモチーフが存在していて、それらの比較によってリスナーへ残酷な現実を目の当たりにさせようとします。胸クソ悪いほどに。さすがデビュー1曲目で"全ての望みを捨てよ"と言い放った人物なだけはあります。

 

 しかしリリース当時かれは写真館で働いていたそうなのですが、彼自身このアルバムをリリースしたあと深刻なうつ病に陥り、ツアーに出演しないという事態に見舞われたそうです。どれだけユーモアに富んでいても現実は重い。

 

 


[Intro]
Yes, yes, y'all, and you don't stop
その調子だ、止まるなよ
And keep on, 'til the break of dawn
続けろ、空が白むまで
Yes, yes, y'all, and you don't stop
その調子だ、止まるなよ
And keep on, 'til the break of dawn
続けろ、空が白むまで

 

Yes, yes, y'all, and you don't stop
その調子だ、止まるなよ
And keep on, 'til the break of dawn
続けろ、空が白むまで
Yes, yes, y'all, and you don't stop
その調子だ、止まるなよ
And keep on, 'til the break of dawn
続けろ、空が白むまで

 


[Verse 1]
Put one up for Shackle Me Not, clean logic procreation
スケボービデオ("足枷するな")をしまって、理論の創造に片を付ける
I did not invent the wheel, I was the crooked spoke adjacent
車輪を発明したわけじゃなくて、俺が隣りあう歪んだ輪止めだったのさ
While the triple sixers' lassos keep angels roped in the basement
3本の投げ縄された6が天使を地獄に縛るあいだ
I walk the block with a halo on a stick, poking your patience
俺は棒付きの天使の輪をつけて区を歩き、お前の我慢をつついている

 

Y'all catch a thirty-second flash visual
お前らは30秒ほど視界がチカチカする
Dirty cooperative med platoon
共謀する衛生兵ども
Bloom, head-trip split ridiculous
開花、高ぶって笑えるほど張り裂ける
Fathom the splicing of first-generation fuck-up
初弾のやらかしのその場しのぎがバレたのさ
With trickle-down anti-hero smack (Kraken!/cracking)
――上から下の反正義じみた平手打ちで(クラーケンだ!/ビシッ

 

I pace my game for zero hour completion cretin, splash
アホな残業ゼロ競走にゲームのテンポを合わせる――バシャン
Duke of early retirement picket dream
早期リタイア公爵が夢を囲う
American Nightmare hogging the screen
アメリカン悪夢がついたてを独占する
I'll hold the door open so you can stumble in
"俺が扉を抑えておくから飛び込むといい
If you'd stop following me around the jungle gym
――都会の試練(ジャングルジム)を掻いくぐる俺を置いてこうっていうならな"

 

Now it's honor, and I spell it with the 'H' I stole from heritage
そいつは光栄(Honor)だ、俺は遺産(Heritage)のHでそう綴る
Merit crutched on the wretched refuse of my teeming resonance
うようよ増えた悲惨な置き土産を徳で食い止めてる
I promise, tempest-tossed breed with a bleeding conscience
約束するよ、どえらい自制心で血の嵐に翻弄されることを
See, the creed accents responsive but my sports divorced the wattage
見ろ、"信念"とすぐ強調するが気晴らしする元気を切らしてしまった

 

And I'm sleeping nowwow! —yeah, the settlers laugh
で俺は今寝てるってわけだ――ワオやったぜ、入植者が笑う
You won't be laughing when your covered wagons crash
笑えないはずだ――手掛けた配膳台が倒れたなら
You won't be laughing when the buzzards drag your brother's flags to rags
笑えないはずだ――ハゲタカ兄弟の旗をぼろに引き裂いたなら
You won't be laughing when your front lawn is spangled with epitaphs
笑えないはずだ――表の庭墓碑銘の数々で煌めいたなら
(You won't be laughing!)
"笑えないはずだ!"

 

Then I'll hang my boots to rest when I'm impressed
その後、俺は打ちのめされ休むために靴を吊るだろう
So I triple knot 'em and forgot 'em
そうさ、三重に固結びしてサッパリ忘れる
His origami dream is beautiful
彼の折り紙の夢は美しい
But man, those wings will never leave the ground
でもキミ、その翼が離陸することはないんだよ
Without a feather and a lottery ticket, now settle down
――羽と宝くじ抜きではね、ほら落ちた

 


[Hook]
All I ever wanted was to pick apart the day
望んでいたのはあの頃を切り分け
Put the pieces back together my way
俺なりにピースを戻すことだけだった
All I ever wanted was to pick apart the day
望んでいたのはあの頃を切り分け
Put the pieces back together my way
俺なりにピースを戻すことだけだったんだ

 

All I ever wanted was to pick apart the day
望んでいたのはあの頃を切り分け
Put the pieces back together my way
俺なりにピースを戻すことだけだった
All I ever wanted was to pick apart the day
望んでいたのはあの頃を切り分け
Put the pieces back together my way
俺なりにピースを戻すことだけだったんだ

 


[Bridge]
Yes, yes, y'all, and you don't stop
その調子だ、止まるなよ
And keep on, 'til the break of dawn
続けろ、空が白むまで
Yes, yes, y'all, and you don't stop
その調子だ、止まるなよ
And keep on, 'til the break of dawn
続けろ、空が白むまで

 

Yes, yes, y'all, and you don't stop
その調子だ、止まるなよ
And keep on, 'til the break of dawn
続けろ、空が白むまで
Yes, yes, y'all, and you don't stop
その調子だ、止まるなよ
And keep on, 'til the break of dawn
続けろ、空が白むまで

 


[Verse 2]
Slacker-bound intimate tabloid headline with a pulse
無関心ごひいきのタブロイド紙衝撃的な見出し
Shimmy cross the centerfold, enter dead time engulfed
伸ばした手が見開きを横切り、待機時間に飲まれていった
Divvy crumbs for the better souls
マシな魂にパンくずを分けてやる
With seven deadly stains, adhere the blame to crystal conscience
7つの大染みをつけ、水晶の良心をしつこくなじり続ける
The result's a lowlife countin' on one hand what he's accomplished
成果といえば、この出来上がった片手でぼんくらを数え足すことだ

 

Okay, link me to activism chain activate street sweep
わかった、道路掃きを促す改革主義の輪にでも関連付けな
Plug deteriorating cenobite pendragon
おとろえ隠居したアーサー王の父にでも当てはめろ
I hock spores coursed by the morbid
俺は病に呪われた胞子をバンクに入れ
Spreading of mad men, Alley gospel
イカレ野郎を蔓延させる――路地裏の福音
Sinking your Lincoln-Log cabin and Charlie Chaplin waddle
お前のミニチュア小屋とチャップリン歩きを衰弱させてやるよ

 

I could zig-zag and zig 'em again
俺はジグザクと進み、また急転換(Zig/ZZZ)するだろう
For the badge dreams sparkle in my brick wall windows
――レンガ家の窓辺できらきらする勲章を夢みて
Another thick installment of one night in Gotham
ゴッサムの一夜でまた別の売女と予定してる
Without the wretched; Houston, we have a problem
-哀れみもなく - ヒューストン、俺たち問題を抱えてる
Attached to the festive batch of city goblins
――都市ゴブリンどもの祭り菓子にそえる恋人について

Who split holiday freaks on a box cut cinema high road bellow
路の牛みたく、映画館で休日を楽しむ連中にお見舞いして

 

Head gripped, watch red bricks turn yellow
あごを支え、赤レンガが黄に染まるのを眺める

 

Sort of similar to most backbones at camp Icarus
キャンプでイカロス(鳥)刺すだいたいの串と少し似ている
Where all fiddler crabs congregate and get pampered for bickering
――あらを捜すペテンが寄って、口論のためにチヤホヤされる場のさ

 

Life's not a bitch, life is a beautiful woman
人生はビッチじゃない、美しい女性だ
You only call her a bitch 'cause she won't let you get that pussy
お前はヤらせてくれそうにないからそう呼んでるだけだろ
Maybe she didn't feel y'all shared any similar interests
たぶんお前らのシェアした楽しみに共感できなかったのさ
Or maybe you're just an asshole who couldn't sweet talk the princess
あるいはお姫様をおだてられないクソったれってだけだろう

 

Kiss the speaker wire, Peter pacifism pegging threshold
スピーカー配線にキスしな、ペトロの平和主義が感情(音量)を抑えてくれるぜ
Stomach full of halo kibbles
天使の輪で腹一杯だ
Wings span cast black upon vigils
広げた翼が前夜祭に影を投じる
Here to Duck Hunt ticker tape vision and pick apart the pixels
紙テープ映像のダックハントからピクセルを切り分けに来たぜ!

 

 

I got a friend of polar nature, and it's all peace
真逆の性格をした友がいた、みな優しかった(別れた/切り分けた)よ
You and I seek similar stars but can't sit at the same feast
君と俺は似た星を探してるけど、祝祭の席を共にはできないな
Metal Captain, this cat is askin' if I've seen his bit of lost passion
"鋼鉄の大佐、このヘボが「失った情熱を少しでもお見せいただけませんか」と抜かしておりますが"
Told him "Yeah, but only when I pedaled past him"
話したはずだ、"ああ、だがお前を蹴り越える時だけな"と

 

 

[Hook]
All I ever wanted was to pick apart the day
望んでいたのはあの頃を切り分け
Put the pieces back together my way
俺なりにピースを戻すことだけだった
All I ever wanted was to pick apart the day
望んでいたのはあの頃を切り分け
Put the pieces back together my way
俺なりにピースを戻すことだけだったんだ

 

All I ever wanted was to pick apart the day
望んでいたのはあの頃を切り分け
Put the pieces back together my way
俺なりにピースを戻すことだけだった
All I ever wanted was to pick apart the day
望んでいたのはあの頃を切り分け
Put the pieces back together my way
俺なりにピースを戻すことだけだったんだ

 


[Outro]
Yes, yes, y'all, and you don't stop
その調子だ、止まるなよ
And keep on, 'til the break of dawn
続けろ、空が白むまで
Yes, yes, y'all, and you don't stop
その調子だ、止まるなよ
And keep on, 'til the break of dawn
続けろ、空が白むまで

 

Yes, yes, y'all, and you don't stop
その調子だ、止まるなよ
And keep on, 'til the break of dawn
続けろ、空が白むまで
Yes, yes, y'all, and you don't stop
その調子だ、止まるなよ
And keep on, 'til the break of dawn
続けろ、空が白むまで